life is short the word is great

アメリカ東部に住んでます。面白いと思ったことを雑多に書いてます。

自立とか、尊厳とか

一般的に「自立」という言葉は、人に頼らず独り立ちするという意味だと思います。
ならば、重度の障害者は、自立できないのでしょうか?



渡辺一史著の『こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち』(文藝春秋 2013)というルポルタージュを読みながら、「自立」という言葉が気になりました。
筋ジストロフィーの鹿野さんは、自分の意志で、ボランティアの力を借りながら「自立生活」を目指します。
(その生活は、本人のみならず、ボランティアにとっても壮絶。)
鹿野さんの積極的に生きようとする姿勢は、自立した精神の現れだと思いました。
結局は、誰もが(無人島で1人で生活してないかぎり)人や社会に頼って生きています。
自立という言葉は、広い意味で考えるべきであって、狭い意味で考えると、人を攻撃してしまえる、あやうさを感じます。



山田太一氏がこの本に寄せた「解説」の中で、筆者、渡辺氏の言葉を紹介しています。
以下に引用します。


「尊厳死を認める社会的な背景には『自分のことが自分でできないような生き方には、尊厳がない』とか『家族に迷惑をかけたくない』とか『ウンチやオシッコを人にとってもらうなんて情けない』とか、そういう些細な価値観に支配されている部分がとても大きいと思うんです。でも『人に迷惑をかけない生き方』が、じゃあ尊厳のある生き方なのかというと、ぼくは鹿野さんを見ていたからでしょうけど、とてもそうは言い切れないという気がするんです」(「MOKU」2005年6月号)


人に迷惑をかけない生き方が、尊厳のある生き方だとは限らないのでは?という意見に、心が揺さぶられました。
人に迷惑をかけたくない、と思う日本人が多いだろうと想像します。
(自分もそうでしたが、この本を読んで、少し考えを改めました。)



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